「東近江の水辺に原風景を探して」展示レポート 其の二
2015年12月2 日更新
それぞれの水辺への思いの表現です。
下口美帆さん
作者コメント
私はこれまで一貫して「水」を手がかりに絵を描いてきました。2010年からは、水遊(スイユウ)というテーマで制作を続けています。
水はいつも私達の傍にありながら、様々に姿形を変え、時には私達の心も映し出す、普遍性と多様性を併せ持っているものです。
技法上も水をたくさん使って、にじみの効果を取り入れています。湿り気を帯びたキャンバスの上で絵の具が動く様子を見ていると、水と色彩が遊ぶと同時に、私も遊ばせてもらっている感覚になります。
また、日本語の「遊び」には、一般的な遊ぶ行為に加え、余白や余裕の事を指し、多様性を許容するという意味があるそうです。
水と色彩の遊びの中から、動き、光、感情、時の流れなどいろいろなものが生まれ、その様子を見てくださる方々が楽しんでくださったら嬉しいです。
「水遊15-012」
「水遊12-019」
野田拓真さん
作者コメント
2013年の夏、私はアメリカのミシガン州へ行き滋賀県の作家数名とのグループ展を開催しました。滋賀県とミシガン州は「湖」という点において姉妹県州関係にあり、私はそこで見た大きな海のようなミシガン湖に驚かされました。「蓮」と「雲」を連想させる木版を摺り、ただようような場景をイメージしました。
「flowing」
藤野裕美子さん
作者コメント
人の姿勢や身体の癖には、その人の暮らしや、人それぞれにあるバックグラウンドが強く結びつき、豊かな表情が潜みます。季節や天候、見る角度によって、うつろい様々な表情を持つ、自然の山の風景や湖の水面のように人の単純ではない豊かな表情をそれらと重ねて感じられることがあります。「原風景」という言葉を「その人が内包する風景」としてとらえました。
「背面の景色」